オーストラリアの囚人遺跡群として世界遺産に登録されているのがシドニーのハイド・パーク・バラックスとコッカトゥー島、パースのフリーマントル刑務所、タスマニアにあるポート・アーサーなど11カ所。18世紀から19世紀、イギリスが植民地を流刑地とし、開拓の労働力としていた歴史が刻まれているところ。このうちニューサウスウェールズ州の施設を以下にご紹介。
ハイド・パーク・バラックス 収容所から保護施設へ
ハイド・パーク・バラックスは囚人が囚人の宿泊所として設計、建造。収容所といっても、刑務所というより、労働者として働いていた囚人の寝床として作られたもの。1848年まで使われ、その後は保護施設、今は史跡として公開。当時の囚人の暮らしぶりがわかる。囚人の先祖を探せるデータベースがあるのがさすがオーストラリア。スコーンがおいしいカフェがあったが、今はないようで残念。
コッカトゥー島 刑務所と造船所
シドニーからフェリーでアクセスできるコッカトゥー島。1839年に収容所となりノーフォーク島から囚人が送られて来た。一旦はダーリングハースト刑務所に移送されたものの、混雑で戻ってきたりと、1908年までコッカトゥー島が刑務所として使われた。1848年からは造船を行うようになり、1992年まで稼働していた。流刑の歴史もなんのその、今はイベントも開催され、キャンプ場やホテルもある観光地。
オールド・グレート・ノース・ロード 囚人手作りの道
シドニーから北のハンターバレー方面に向かう道路として囚人によって建設された260kmの道のうち、昔のまま残されるのがオールド・グレート・ノース・ロード。一部がコンビクト・トレイルとして、実際に歩くことができる。杭で岩を割った跡などがリアルで、当時と変わらない景色が見られる貴重な場所。シドニーからトレイル入り口までは車で1時間30分くらいだが、途中フェリーを渡ったり、なかなかのアドベンチャー。公共交通はないので、車で行くしかない。さらに囚人トレイルは車は入れず歩くしかない。
The Convict Trail、ストリートビューで一部見られます。
結論:囚人の労働力なしにオーストラリアの発展はなかったのでした。