美術館の監視員の仕事って?アメリカとの給料比較、絶対注意されること

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美術館で監視員のバイトをしたことがあります。そもそも美術館監視員とは何なのか。簡単にいうと、鑑賞を妨がないように作品を守るお仕事。案内や誘導も含まれます。あらためて仕事について調べてみました。

監視員の仕事って?アメリカとの給料比較

これはある公立美術館の仕様書からの引用。博物館法には「監視」というワードが検索した限りでは見当たらず、「美術作品等監視業務」で検索するといくつか仕様書が出てくるので内容が分かります。

  • 開場、閉場時の起動、終了操作等 
  • 展示内容についての観覧者への対応及び観覧順路の案内誘導
  • 展示室内における展示作品の安全監視 
  • 館内及び展示室内の禁止事項の注意及び誘導
  • 禁止事項に抵触した場合の対応 ・展示室内での事故等の際の連絡
  • 展示室内のゴミ等の除去
  • その他必要な業務 

今美術館は外郭団体による運営が多いですが、そこからさらに、監視員の仕事はほぼ民間への委託です。なお、監視員とは別に警備会社の警備の人もいます。

Indeedなどで検索すると地方によりばらつきがありますが首都圏では時給1000円前後。いわゆるアルバイトの最低賃金。アメリカの場合も委託のようで、フィラデルフィアの美術館、2011年時点で時給$10.88プラス3日の病気休暇付き(ニューヨークタイムズの記事より)。the balance careersのArt Museum Security Guard Salaryの記事によると(2019年)、Top10%の年収が$55,520(約757万、時給$26.69)、Bottom10%が同じく$23,020(約314万、時給$11.07)。中間帯は年収$32,680(約446万、時給$15.71)となっています。日本の場合、時給1000円のアルバイトではそこまで昇給する人はいないと思います。キャリアパス的に委託業者(専門の人材派遣会社か設備管理、警備会社等)に就職すれば、監視員のマネジメントと美術館との橋渡し役としての業務に就くことができます。

触ろうとする人を分類してみた

美術品ですよ、触るなんてありえない、と思われるでしょうが、結構あります、「接触」が。美術好き、もしくは常識ある大人しか来ないような通常の企画展ならあり得ませんが、普段美術館に来ない層が来るイベント系、何年に一度のナントカ祭系でインスタレーションが多い展示は本当に危険です。

1 無邪気な子ども

 小学生高学年や中学生なら触られないでくださいねーといえばわかってくれますが、幼児から小学校低学年くらいはまあ無邪気に触ろうとする。あとおぶられた赤ちゃんが、手を振り回したり。そりゃ本能でしょう、好奇心から来る。で、監視員は子どもを叱らず親に伝える(ようにいわれる)。

 ここで親の教育が出ちゃうんです。触っちゃダメ、と子供に伝える親が大半ですが、野放しの親も。逆ギレされないよう、すごーく下手に出てお願いしてました。

2  美術館慣れしてない大人

 大人は、ホラホラ~と、同行者に何かを教えるように指差す人がいて、作品に触れそうになる。作品のそばに「触れないで」の注意書きのない、むき出しの作品もあって、ひょいっと触ろうとする人も。ほかにも床置きの作品をまたごうとする人、インスタレーションの中に入ろうとする人。入場者からすれば、ダメなら看板立てたり、結界(作品に触れられないようにつける線のこと)付けとけ、って話ですよね。でも美術館のポリシーで置かないケースもある(看板や結界をつけることが美術館としての景観を損なうのだそう)。

3 そもそもの動線の問題

 動線がうまくいってなかったり、暗いところや狭いところに置かれた作品に意図せず触れてしまう人もいる。こういう人は足元見てないで歩いているのだけど、正直動線がうまくないこともあります。

触るとどうなる?

触られるとどうなるかというと、バイトの監視員は委託会社の担当者に連絡、そこから状況によって学芸員が確認します。破損・損壊となると聞き取りすることに。明らかに狭い、暗い、足元悪い、でも写真はOKという展示。土日は人が多い。子供やベビーカーもやってくる。それを監視による人力だけで未然に防ごうという、超アナログな体制は監視員にとって超プレッシャー。将来は絶対にAI監視ロボがやるべき。

チケットや入り口にもきちんと明記すべきだと思います、守ってもらいたいルールと賠償責任について。それがなくて、観ているときに釘をさされたら嫌な気持ちになると思いますし。インスタレーションで、注意書きも立てず、触っていいのか、入っていいのか明示せず、入りそうになったときに注意する、という方針もどうかと。展示側に作品を保護したいという意図が感じられない展覧会もあるのです。

日本でなくシンガポールの美術館、この黒い枠からうっかりはみだしたらしっかり注意されました(笑

美術館、博物館、これをしてると注意されます

美術館博物館で絶対声かけられるのが、

  • でかいカバンを持っての鑑賞 美術品や人にぶつかる可能性あり。ロッカーやクロークへ入れる、あるいは前に抱えましょう
  • 長い傘の持ち込み 傘立てに置いておきましょう
  • 食べ物の持ち込み  飲み物は指定の場所ならOKなところも
  • 生き物の持ち込み お花も注意されます
  • 撮影禁止の作品を撮影、動画撮影禁止なのにスマホで撮る 動画撮ってる人は挙動とスマホ画面でわかります
  • 鉛筆以外でメモを取る 基本は鉛筆を使うように言われ、なければペグシルを貸してくれます

触りそうな人も注意されます。最近はマスクについても。

結界は守りましょう(イメージ)
しっかり結界が引かれています

作品が破損したらどうなる?賠償責任に問われます

海外から借りた美術品が破損した場合には、国が補償する「美術品補償制度」(2011年設立)があります。通常の損害が最大1000億円(うち主催者の自己負担50億円)、地震やテロなどが同951億円(自己負担1億円)で、自己負担分を民間の保険でカバーできるもの。ただしこれ、展示品の評価総額が50億円以上など要件のハードルが高すぎ。

それ以外となると やはり損害賠償は免れないかと思います。アメリカで自撮りしようとして、バランスを崩して作品が破損し、被害総額が20万ドルになったことがあったとか。これが日本の場合どうなるか、解説したページがあったので引用させてもらうと、

保険法によって、

保険者は保険代位による損害賠償請求権を取得し、美術品を壊した人に対して損害賠償請求をすることができる

弁護士法人プロテクトスタンス美術館で自撮中に転倒、作品ドミノ倒しで損害2千万円!倒した人の責任は?

なので、美術館から賠償請求されることになります。

故意でなくても損害を与えてしまうことはあるので、生命保険でも自動車保険でも個人賠償責任補償を特約でつけておくのもいいと思います。文化財や作品に触れない、ということは徹底しておくべき。お金の問題だけでなく、作った作家さんや守ってきた人、その作品を見てもらいたいと力を尽くした人、大事に運んで展示作業をした人、全てに敬意を払いたいものです。

同時に、展示する側もリスク管理の一環として、来館者目線で、こんなところに置いたらどうなるかもっと想像力働かせて、動線、注意書きをわかりやすく掲示すべきかと思います。それができてこそ、よい展示かと。

yuma
yuma

美術品、触っちゃダメ、絶対。

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